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セドリック・クラピッシュは、名もなき市井の人たちの喜怒哀楽を描く名手、と思っている。「スパニッシュ・アパートメント」では、バルセロナを舞台に国籍の異なる若者たちの群像を見事に捉えた。新作「PARIS」(アルシネテラン配給)もまた、パリに住む市井の人たちを、あたたかく優しく見つめる。
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 心臓移植でしか生きる望みのない弟のために、3人の子どもを抱えた姉が同居することになる。弟はアパートのベランダから、パリの町並み、行き交う人たちを眺める。パリに住む人たちは、この姉弟を軸に、それぞれが知り合い、すれ違う。

 ドナー提供者が現れるまでの弟は、死を意識したからこそ、人生を楽しむよう、姉に優しさを示す。ベランダの向こう、女子大生がいる。彼女に歴史学を教える教授、教授の弟は建築家、姉に好意を寄せる市場の八百屋、弟がいつもパンを買う店の女主人、ファッション業界の姉妹たち、カメルーンからの不法移民…。

 そういったパリに住む人たちの、さりげない日常のやりとりが、まるで水彩画のように、淡く、くっきり描かれる。

 弟役のロマン・デュリスは、繊細な感情をきめ細かく表現する。姉に扮するジュリエット・ビノシュは、もう諦めた人生を、弟の病いをきっかけに見直そうとする。この二人の演技が、映画を支える。

 ベルヴィル、パッシー、エッフェル塔、サクレクール寺院、ソルボンヌ大学などなど、絵はがきを見るようなパリではなく、曇ったり、晴れたりの自然体のパリの風景が描かれて、飽きない。

 パリを舞台に、パリに生きる人々を、さりげなく描くが、これがまさにパリのいま。

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